福知山城|外観複雑な天守を訪問して徹底観察

復元天守

福知山城は、明智光秀が築いた城として知られていますが、実際に訪れて強く印象に残ったのは、見る角度によって全く違う表情を見せる天守の姿でした。

正面からは大きな入母屋破風をみせる整った美しい天守に見えますが、側面や背後に回ると、天守の増改築による結果で不思議な不均衡さが現れ、同じ天守とは思えないほど印象が変わります。

今回の訪問日は休館日で天守内部には入れませんでしたが、その分、城の周囲を歩きながら外観をじっくり徹底的に観察することでこの天守の個性をより深く感じることができました。

この記事では、福知山城の基本情報とともに、見る角度によって変わる天守の見え方や石垣の特徴、実際に歩いて分かった見どころを現地体験をもとに分かりやすく解説します。

福知山城は、外観をじっくり観察することでその魅力が際立つ、非常に個性的な城といえるでしょう。


福知山城を訪問前に基本情報をまとめました
■ 福知山城 基本情報
※福知山城は市街地からアクセスしやすく、短時間でも見学できるため、観光の合間にも立ち寄りやすい城です。

・所在地京都府福知山市字内記5番地
・営業時間午前9時00分~午後5時00分(入館は午後4時30分まで)
・入館料大人360円 小人110円
・駐車場無料駐車場 車:約70台(ゆらのガーデン駐車場)
・アクセスJR・京都丹後鉄道「福知山駅」から徒歩約15分
・所要時間60分

福知山城とは・・

福知山城とは、戦国時代に明智光秀によって築かれた城で、現在の天守は復元されたものです。

京都府福知山市の中心部に位置し、市街地からもアクセスしやすく、コンパクトにまとまった城郭は、初心者でも無理なく見学できるのが特徴です。

この城の最大の見どころは、石仏や墓石などを再利用した「転用石」を多く含む天守台の石垣と、見る角度によって印象が大きく変わる独特な天守の外観にあります。

一見すると整った復元天守ですが、周囲を歩きながら様々な方角から眺めることでその構造や石垣との関係が浮かび上がり、より深く楽しめる城といえるでしょう。

また、規模が比較的にコンパクトなため、短時間で見どころを押さえて見学できる点も魅力の一つです。外観観察を中心に楽しみたい方には、特におすすめできる城です。

西側から望んだ天守。天守下には唯一の現存建物である銅門番所を見ることができます。

「方位で姿を変える天守」は福知山城の最大の魅力

福知山城の天守は、一つの方向から見ただけでは、その全容を掴むことができません。実際に城山の周囲を一周してみると、東西南北それぞれの位置で天守の見え方が大きく変わり、まるで別の城を見ているかのような印象を受けます。一般的に、天守の外観は建屋の長辺と短辺で各々対称になるよう屋根が設けられています。東面と西面が同じ、南面と北面が概ね同じ姿で見えるのが普通です。

天守様式の完成形である名古屋城。左右対称の破風構成で、どの角度からでも同様な姿で見えるように、外観規格が統一されています。

これが、福知山城ではかなり変わって見えます。福知山城の天守は、南北に細長い構造と東西側への石垣の積み足しによる増築による不均衡な基盤の上に建設されているため、見る方向によって非常に特徴的な外観を持っています。

東面の豪快な天守

天守の当面は、天守台石垣地下からの入り口が写真中央に見えますが、この部分の石垣が張り出した増築部の規模が大きく、元々の天守の大入母屋屋根に重なって、ほぼ同大の入母屋破風を重ねています。右側2階建ては小天守。

西面の威厳ある天守

東側の反対側です。東側のような出入口はありませんが、写真中央に増築部分のあることが分かります。写真中央の増築部分の石垣を見ると継目があることが確認できます(立札の右真横)。ここから、かつての増築部分は小規模で、後に改造が加えられたものと考えられます。ただし、西側の出張り増築部は東側のそれより小さく、大小の入母屋破風が重なった外観になっています。左側の二重櫓は小天守。

北面の細身な天守

三層四階の大天守の3階部分に切妻破風の屋根がかけられています。こちらの方からは4重天守のようにも見えます。この天守の南北面は東西面に比べて極端に細くスマートな外観になります。

南面の複雑な屋根構成をみせる天守

南面から見える天守は、三重目の望楼部に高欄が付けられています。東西面に増築がされているため、本来の二重目の屋根と増築部分の二重目の屋根を段差を付けて納めていますが、東西面の出張の大きさが違うため屋根の納め方も段差が付いています。この方角からは二重の小天守が、大天守に重なり、反対側(北面)とは全く異なる外観になっています。
北西面から見た天守。この位置からは天守が4重にも見え、福知山城が城下から見上げる丘の上に建つ見栄えの良い城であることが分かります。
南西側から見た天守。小天守と並び立つ福知山城。銅門番所も一望に納めることができます。

福知山城天守は石垣に注目すると更に面白い(転用石)

福知山城を訪れた際に、ぜひ注目してほしいのが石垣に使われている「転用石」です。

一見すると普通の石垣に見えますが、よく観察すると石仏や墓石など、本来は別の用途で使われていた石材が組み込まれていることに気づきます。

こうした転用石は福知山城の大きな特徴の一つであり、天守台に積まれた仏石が訪れる人たちを驚かせます。

福山城天守台の石垣。人工的に加工された長方形の石が自然石に交じって特に規則性もなく積まれているのを見ることができます。

転用石とは何か
転用石とは、石仏や墓石、石塔など、本来は宗教的・供養的な目的で使われていた石材を、徴発して城の石材などに再利用したものを指します。
福知山城ではこうした転用石が多く確認されており、石の形や表面の彫刻に注目すると、その痕跡を見つけることができます。

転用石の一部を城内で展示しています。どのような石が石垣に徴用されていたのか確認できます。

なぜ転用石が使われたのか
転用石が使われた理由には、いくつかの説がありますが、主に築城を急ぐ必要があったことや、石材を効率的に確保するためと考えられています。
既存の石材を再利用することで工期を短縮できるという実用的な面があったのでしょう。

一方で、宗教的な意味を持つ石をあえて使用することで、領主の権力を示す意図があったとともいわれています。
確かに転用石は、領主の権威を示す天守の石垣に多くが使われており、他の石垣では見ることができませんでした。

福知山城の本丸石垣。転用石もなく、表面を平らに加工された大小の石を隙間なく積み上げており、城内最古と思われる天守台の石垣と比べて明らかに様相が違い、造営年代や城主が異なるものと理解されます。

実際に見てわかる転用石の特徴
実際に天守台石垣を確認すると、石の大きさや形が不ぞろいな野面積での石垣に、表面に彫刻の痕跡が残ったままの箇所を確認することができます。
特に注意してみると、仏像の一部や文字が刻まれた石が使われているものもあり、通常の石垣とは異なる独特の表情を感じることができます。

転用石の多い部分を少しズームアップしました。よくみると墓石や石像は底部が平たくなっているので、この面が外に露出するような積み方になってます。

天守の外観と天守台石垣
福知山城の天守及び天守台石垣は、何期かにかけて増築されて現在見るような形になったものと思われます。石垣の途中に継ぎ足しの明らかな跡があったり、転用石が特定の箇所(西面)に集中して使われていることなどがその理由です。
明治時代には、天守は取り壊されているので、建屋で増築の痕跡を確認することはできませんが、福知山城天守の複雑な外観は、明智光秀による最初期の望楼型天守である創建時から江戸期にかけての数度の改修で生まれたものと考えられます。

転用石は、単なる再利用された石材ではなく、福知山城の外観や構造の経緯を理解するうえで欠かせない要素といえるのかもしれません。

こうした転用石の利用は、福知山城に限られたものではありません。
安土城では、織田信長の築城において石材の大規模な利用が進み、城郭の石垣構築が大きく発展しました。

また、大和郡山城では、豊臣秀長のもとで転用石が多用されており、福知山城と同様に石材の再利用という特徴を見ることができます。
福知山城の石垣も、こうした織田家中の築城の考え方の流れの中に位置づけてみることで深く理解することができるでしょう。
▶安土城の記事はこちらへ
▶大和郡山城の記事はこちらへ

実際に歩いて感じた福知山城の魅力

福知山城は、天守の内部に入らなくても十分に楽しめる城だと感じました。
今回の訪問日は休館日で内部見学はできませんでしたが、その分、城の周囲を歩きながら外観をじっくり観察することができました。

特に印象的だったのは、見る位置によって天守の姿が大きく変わる点で、正面では堂々とした外観の天守が側面に回るとスマートな外観になり、違う天守を何度も見ているような感覚となりました。

また、天守台の石垣に近づいてみると、転用石の不気味さや、本丸の他の石垣との積み方の違いも確認でき、構造の面白さを実感することができます。

現在の福知山城で城址として残されているのは、本丸部分ぐらいなので規模がコンパクトになっており、ゆっくり一周してもそれほどの時間はかからず、初めて城を訪問する方でも無理なく見学できる点も魅力といえるでしょう。

天守の外観を中心に観察することで、この城の特徴がよりはっきりと見えてくるため、ぜひ時間に余裕を持って周囲を歩いてみることをおすすめします。

他城も訪問したい方はこちらを参照ください
▶岐阜城訪問はこちらへ
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福知山城の見どころまとめ

福知山城の見どころを整理すると、以下の三点に集約されます。
・角度によって印象が変わる独特な天守
・転用石を多く含む石垣
・コンパクトで見学しやすい城郭構成


特に天守の外観は見る方向で大きく印象が変わるため、一方向だけでなく、周囲を歩いて様々な角度から観察することが重要です。
特に、城の構造や石垣に興味がある方、写真撮影を楽しみたい方にはおすすめの城です。

明智藪から見える福知山城天守。福知山城の本丸は小高い丘陵の上にあるので、少し離れた城下からでも撮影スポットを得ることができます。

また、天守台石垣に使われている転用石にも注目することで、明智光秀の築城の背景や構造の特徴をより深く理解することができます。

福知山城のよくある質問 FAQ

Q1:福知山城の見学にかかる時間はどのくらいですか?
福知山城の見学時間は、外観のみであれば約30分~1時間程度が目安です。
天守内部を見学する場合は、展示の見学を含めて1時間~1時間半程度見ておくと余裕を持って回ることができます。

Q2:福知山城の天守には入れますか?
通常は復元された天守内部の見学が可能ですが、休館日にははいることができません。その場合は外観のみの見学になりますが、天守の外観や石垣を十分に楽しむことができます。

Q3:福知山城の見どころは何ですか?
最大の見どころは、複雑な造形を見せる大小2基の天守の外観です。また、石仏や墓石をそのまま組み込んだ石垣を見るのも特徴的で、ある種の不気味さを感じることもできます。

Q4:転用石はどこで見られますか?
天守台の石垣に用いられています。近づいてみてみると、かつての使用時の文様や加工そのままに積まれています。

Q5:写真撮影におすすめのポイントはありますか?
福知山城天守は見る方向によって天守の印象が変わります。天守のある本丸は小丘陵の上にあるので、周囲を一周しながら撮影するのがおすすめです。

福知山城を撮影するのに最適な場所が各所にあります。写真撮影の最適スポットを案内してくれる看板もあり、助かります。

Q6:アクセスや駐車場はありますか?
城は市街地に位置しており、公共交通機関・車どちらでもアクセス可能です。
周辺には駐車場も整備されているので、車での訪問も比較的容易な環境です。

Q7:福知山城は城初心者でも楽しめますか?
規模がコンパクトで見学しやすく、城が初めての方でも無理なく楽しめる城です。特に天守外観の複雑さや石垣の魅力など分かりやすい見どころも多い城です。