訪問日 2025.9.8
八幡山城は、豊臣秀次が築いた山城です。ロープウエーに乗れば約4分で山上駅に到着し、そこから本丸跡や北の丸・西の丸を歩いて巡れます。山上では城の石垣と、琵琶湖や城下町を望む景色が見どころです。散策路を一周する目安は約30分。この記事では、私が八幡堀からロープウエイに乗り、城跡を歩いた様子を写真とともに紹介します。
八幡山城へのアクセスと所要時間
JR近江八幡駅北口から近江バス「長命寺行き」に乗り、約7分で「八幡堀(大杉町)八幡山ロープウエー口」へ。バス停からロープウエー山麓駅までは徒歩約5分です。
ロープウエーの乗車時間は約4分。山上の遊歩道を一周する目安は約30分で、瑞龍寺の拝観も含めるなら40~50分ほど見ておくとよいでしょう。運行時間と料金は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトをご確認ください。
八幡山ロープウエーの営業時間・料金
今回、旅の目的地の一つ安土城に行くにあたって、9月上旬で暑さ厳しく安土駅からは歩きたくない。最小経費の行程でタクシーもレンタカーも使わず、うまく日程をこなす手段として、レンタサイクル利用を考えました。どこで借りるか、ネットで検索するうち安土駅の隣駅の近江八幡駅前でレンタサイクルの店舗があり、自転車を使えば近江八幡城から安土城まで2城を効率的に周れることに気づいたわけです。
鉄道を乗り継ぎ、JR近江八幡駅で下車、駅前のレンタサイクル屋さんを探して今日一日の愛車をゲットしました。(確か500円だったと思います)まずは八幡山城を目指します。ところで、借りる時に今更思ったのですが、私は実は30年以上自転車のハンドルを握った記憶がありません。最初は勘が戻らず、結構危なっかしいハンドルさばきで店舗を出たので、見送りのお店の方を心配させたかもしれません。なるべく最短距離を走り、10分くらいで城内と城下を隔てる八幡堀という観光スポットまで来ました。城跡のロープウエー駅はもう目の先にあります。

八幡堀を渡り右手にある立派な神社(日牟禮八幡宮)は時間節約にてスルーし、城山へのロープウェイ駅に到着します。城址の山上には瑞龍寺という寺があり、城郭時代の建築物を見ることはできませんが石垣と眺望を楽しむことができます。



織田の安土城を廃し、八幡山に築かれた豊臣の新城
八幡山城について
八幡山城(はちまんやまじょう)は、滋賀県近江八幡市にある山城で羽柴秀次(後の関白 豊臣秀次)の居城として歴史に名を残しています。近江八幡城とも呼ばれており、自分もそのように覚えていましたが、地元では八幡山城と呼ぶので、その表記に統一します。城は、鶴翼山、通称八幡山(標高283m)の山上南半分に遺構が残されています。築城当時は東西に内湖があったそうで、南の平野部に城下町を配した構造は安土城に似ており、史実においても安土の城下町を移住させているので、安土城の後継といえる存在です。
八幡山城の歴史
本能寺の変から3年後の1585年(天正13年)、羽柴秀吉は甥の羽柴秀次に近江43万石を与え、安土城からほど近い八幡山に城を築かせました。秀次は当時18歳。山上には本丸などの曲輪、南側の山麓には居館が設けられ、安土城下から町や社寺の一部も移されました。八幡山城は、安土城の後に近江を治める拠点として築かれた城です。
その後、豊臣秀次は入城5年で1590年(天正18年)尾張の国へ移封され、京極高次が2万8千石で入城しました。1595年(文禄4年)秀次事件が起きて、関白にまで立身した秀次は切腹となり、秀次ゆかりの八幡山城は築城から10年で廃城となり、城主の京極高次は大津城へ移りました。秀次が居を置いた京の聚楽第同様に秀次の記憶を留める、この八幡山城は存在を否定された哀しい城ということになります。

豊臣家継承者の居城の現在
八幡山城の主である豊臣秀次という人は、秀吉という「子を持たぬ天下人の甥」という特殊な立場に身を置いて人生を翻弄された人物です。秀次は庶民の生まれながら叔父の出世に伴って、幼少時から政略で有力者の養子に出され、自らの意思・能力とは関係なく姓氏を変えながら出世し、関白という官職の最高位まで昇進することになりました。悲劇的な最期を迎えることも併せて考えれば数奇な運命というべきでしょうか。実際「殺生関白」の悪名の真偽も含め興味深い人物です。
八幡山のロープウエーを山上駅で降りて、案内板に沿って歩くと程なく、二の丸経由で本丸まで到達しますが、本丸下の周囲を歩いて北の丸・西の丸という眺望の良い曲輪を先に行って見ました。




北の丸から安土城を望むと、二つの城が目と鼻の先にあることが分かります。安土城を使い続けず八幡山に新城を築いた背景には、秀吉が信長の後継者から天下人になったことを示そうとした、という見方があります。一方、八幡山城の石垣や城下町のつくりには、安土城から受け継いだ要素も残ります。近くに見える安土城を眺めながら、北の丸から西の丸へと歩きました。


西の丸も山城にしては広い敷地があり、観光客もそれなりに訪問して下界を眺めています。これから上る本丸は寺院があるせいか、あまり眺望が開けておらず、周辺の景色を楽しむなら北の丸・西の丸を訪問することをお勧めします。
八幡山城本丸を訪問する



本丸周りを一周し、いよいよ本丸に入ります。現在は本丸内部はお寺の土地として、管理・整備されており、山門をくぐると城郭訪問とお寺に参拝という感じが混在してしまいます。
本丸跡には現在、村雲御所瑞龍寺が建っています。山門をくぐって境内を歩き、本丸と西の丸の境に残る石垣を確認しました。しかし、どの部分が天守台にあたるのか、私には現地の遺構だけでは判断できませんでした。

城郭建築は何もありませんが、苔むした石垣は築城当時のままであることが想起され、古城の趣を味わうには、充分の訪問でした。山上駅付近では観光客向けに所々で中国語音声が流れてきます。帰りのロープウェイに乗り、下山後安土城へと自転車で向かいます。
まとめ|石垣と眺望を楽しめる八幡山城
八幡山城は、ロープウエーで山上まで上がり、石垣と眺望を楽しめる山城です。私が特に印象に残ったのは、北の丸から安土城を望んだ景色でした。二つの城の近さを目で確かめると、安土城の後に八幡山城が築かれた歴史が、ぐっと身近に感じられます。麓の八幡堀にも足を運べば、山上の城跡と城下町をあわせて楽しめます。
参考資料|公式サイト
・滋賀県教育委員会・近江八幡市教育委員会『八幡山城跡―天下を継ぐ城―』(2011年)
https://www.pref.shiga.lg.jp/documents/2585/2042777.pdf
・滋賀県文化財保護課・上垣幸徳「近江の城めぐり 第3回 八幡山城」(2020年)
https://shiroexpo-shiga.jp/2020/column/no03.html
・近江八幡市公式観光サイト「市内に点在するお城の紹介」
https://www.omi8.com/stories/castle
・八幡山ロープウェー公式サイト「よくあるご質問」(乗車時間・山上散策の目安)
https://www.ohmitetudo.co.jp/ropeway/faq/
以下「豊臣兄弟ゆかりの名城を行く(2-⑤) 『安土城編』 に続きます。


