【実体験】松江城(国宝天守)を訪ねてみた

各地の城

アクセス・見どころ・体験ガイド
2025年7月下旬、松江城(島根県松江市)を訪問しました。四国を除いた西日本エリアでは、希少な大型の現存天守のある名城ですが、初めて訪問する人には見落としがちな所もあります。10年ぶりの再訪問ですが、滞在時間にも限りがあったので、初めての訪問の際にカバーできなかったところを有効に周りました。この記事では、これから初めて訪問する城巡り初心者の方のために、アクセス方法・道順・天守や城内の見どころ、現地の印象などを写真付きで分かりやすく解説します。

松江城のおすすめポイント
歴史観光において本物志向の強い方向けの城です。天守は最高所の本丸内に建てられているので、大手門跡から到達するまで石階段を登る必要があり、天守本体も現存建築なので危険な急階段やエアコンが効いているわけではありません。仕方のないことですが、高齢者など足腰に不安のある方には厳しいかもしれません。そういう方には遊覧船による堀川巡りでお城が楽しめると思います。

松江城の基本情報

所在地:島根県松江市殿町1-5
アクセス:JR松江駅からバスで10分・徒歩で5分(バス停「国宝松江城前」
営業時間: 8:00~18:30(4月1日~9月30日) 8:00~17:30(10月1日〜3月31日)
料金:大人800円・小中学生400円(2025年12月時点)
国宝指定: 2015年(平成27年)

公共交通機関を利用される方はJR松江駅から「国宝松江城・県庁前」行きでバス10分程度。出雲空港・米子空港からはJR松江駅まで空港バス30~45分程度が必要です。一畑電鉄を利用の方は「松江しんじ湖温泉駅」から市営バス北循環線内回り5分で到着。自家用車やレンタカーの人は「大手前駐車場(有料)」を利用するのが最も効率的です。松江城のホームページの「松江城の行き方」で他城からの最寄り経路など丁寧な作りのページになっていますので下記リンクを参照ください。https://www.matsue-castle.jp/

松江城の見どころ

天守について
松江城の天守は、日本の現存12天守の一つです。外観4重内部5階(地下1階)の規模を持ち、5重天守の姫路城・松本城に次ぐ希少な現存の大型天守です。天守の造りは望楼型と呼ばれる入母屋屋根の御殿建築(下の二重分)の上に展望のための望楼部(上の二重分)を乗せた構造を持っています。外壁が黒い板張り(下見板張り)の天守のため、古風で厳めしい雰囲気を醸し出す外観が魅力です。

松江城天守は、姫路城天守と比べて年代や全体の構成が近いのですが、外観が姫路城のように白壁ではなく黒い板張りで、屋根の飾り(破風)も姫路城よりも少ないので武骨で質実剛健な印象を与えてくれます。白鷺場といわれる優美な姫路城と対照的な、日本古来の武士道的な質実剛健の気風を感じさせる天守です。

また、この現存天守は関ケ原合戦後の築城最盛期といわれた年代の建築です。泰平の世となった江戸時代中期に建造された幾つかの現存天守と比べて、戦闘面で実戦的に作られていますので、内部に入って細かい仕様をチェックしてみる楽しさもあります。例えば、天守の地階(天守台石垣内)内には井戸があり最後の最後まで籠城する覚悟が伺えますし、防備では、天守入口の付櫓の中に入った敵を銃撃を加えられるよう狭間(銃や矢などの飛び道具を使うため壁や塀につけられた隙間)が設けられています。また、天守は地上5階建てですが、エレベーターがあるわけではないので階段の昇降になります。現存天守の階段はいずれも傾斜が急です。ケガをしやすいので、注意が必要です。下りは特に焦らず気を付けましょう。天守は巨大な木造建築なので、構造を支える柱も当然太くなります。築城当時はこれを支える太い柱材が松江城では得られなかったようで、古材を含めた細い柱を包んで一本の太い柱にする「接柱(はぎばしら)」を見ることができます。当時としては最先端の技術を駆使して造られた建造物です。

最上階まで登ると、松江城下の展望が開けます。景色として嬉しいのは宍道湖が見えること、遠くに大山の姿も望むことができます。

松江城天守最上階からの展望①。天気の良い日は、伯耆の国を象徴する大山を拝めます(写真中央遠景)。撮影日2015年夏
松江城天守最上階からの展望②。天守最上階から宍道湖を見ると、この湖が城の防衛線になっていることが理解されますが、それ以上に「水都」というべき落ち着いた松江市街の佇まいに魅了されます。撮影日2015年夏

松江城の訪問体験記

2015年夏の訪問時(家族連れ)
このときは、季節柄本当に暑く城内の移動が辛かったので、涼しげな「堀川遊覧船」を利用しました。乗り場は大手前駐車場付近に乗船場があります。料金は大人一人1600円、中高生1300円、小人800円(2025年現在)で15分~20分おきに出ています。屋根があったので直射日光が射すことがなく日陰で城の石垣や堀を間近に鑑賞することができました。天守もいろんな位置から見ることができます。正直、城への入館料・駐車場代などに加えて遊覧船観光の出費は躊躇いもあったのですが、乗船時間や船からの景観などで内容的には乗船価格に見あうものとして大満足でした。

遊覧船内から、内堀越しに見る松江城天守。堀の水なので多少の濁りもあり川底が見える水質ではないが、市街地や城が遠望できることで松江が水都であることが、とても身近に感じられます。真夏日は屋根があるため日よけの観光にもなり家族連れ的には助かりました。

天守内部は真夏日でも、それ程の暑さは感じませんでしたが、城内の最高所に建てられているので、駐車場から距離があり天守に着くまで数度の階段を上がります。結構な汗と体力を使いますのでご注意ください。いま振り返ると、35℃あったと記憶している暑さのせいか、普段と違い写真も余り撮っていません。城好きの私でも驚くほど撮った写真が少ないのです。一年中エアコンの効いた鉄筋コンクリートの復興天守を見直しました。一人旅だと、結構無理して場内をあちこち歩き回るのですが、一緒に行動する人がいれば健康面も気になるので、冷たい食べ物や飲み物がある休憩所や売店に猛ダッシュしたのです。

松江城天守西面。四重五階の天守として認定されていますが、江戸時代の絵図では五重に描かれています。この位置から見ると三重目の出窓の屋根が大きく五重に見えなくもない外観です

2025年夏の訪問時(一人訪問)
松江城は、訪問予定になかった旅ですが、前日鳥取砂丘を一人で訪れた際に熱中症になったため、山城の月山富田城に行くのを諦め、代わりに松江城を再訪問しました。前回の2015年訪問時と違って夕方近くに訪問したので気温は前回ほどでなく、前に暑さで周れなかった場所も行くことにしました。まずは、天守の背面側の写真を撮りたいと思い、前回使った定番コースで最短距離の大手側から一の門・二の門・三の門を経由する道順は採用せず、大手門から本丸東側の曲輪を大きく経由して、馬洗い池・水の手門跡・北の門跡を経由する道順を通って本丸に入り天守に到達しました。

大手門付近から二の丸平櫓のある高石垣と石垣下の井戸を鑑賞します。ここまでは、大手前駐車場から城内に入ったときに得られる最初の見ごたえのある景観です
一~三の門を経由する最短距離コースは採用せず、天守東側側面を横目に眺めながら、天守の背後側から本丸に向かいます。
天守の背後に廻り、本丸へ侵入する手前にある馬洗池を見る。あまり大きな池でないので実際に馬を洗うための池であったと思いますが、縄張り上のアクセントにもなり防備の役割も担っていたと思われます。
この写真が欲しかった!松江城の紹介写真は南側からのものが多いので、付櫓なしの天守北面写真を撮るのが目的でした。

天守の写真撮影後二の丸へ向かいます。
これは前回訪問時は真夏日の昼の暑さで屋外に長く居られず、今回改めて初訪問したものです。3つの櫓(太鼓櫓・中櫓・南櫓)と瓦塀が平成13年(2001)に復元されています。櫓については嬉しいことにどれも無料で中に入ることができました。このうち最大の南櫓をご紹介します。
松江城は、城絵図をみても要所に防備の櫓は配置していますが、二重の大型櫓は少なく平屋建てが多い城です。南櫓は城内で数少ない二重櫓の一つで見学できますので、天守だけでは物足りない方にはお勧めです。

松江城二の丸南櫓です。古写真で外観が判明しているため、昔のままの姿で復元されています。
比較できる他城の櫓と比べて天井が低く、全体的にずんぐりした印象を与える建物です。中は広く壁には場外の敵を狙う鉄砲狭間や縦の格子窓が設けられている窓は突上戸であるが、意外に室内は明るい。
南櫓の2階の様子。天井は張られておらず、木材が豪快に剝き出しであります。縦格子の窓を広く取り押し寄せた外敵を射撃しやすいようにしていることが分かります。

このように、二度にわたって松江城を訪問しましたが、いずれも真夏日でした。ただし、訪問する時間帯によっては気温に差があるので、真夏の城訪問は朝方か夕方近くが良いと思います。
それから最近12月上旬の週末に家人が松江城を訪問しましたが、天守入り口では行列ができていたそうです。以前訪問した、松本城天守も行列ができていたのを思い出しました。人が多すぎるとゆっくりと鑑賞しづらく、写真も撮り難いので、国宝指定された人気の城は、できれば週末や旅行シーズンの訪問は避けた方がよさそうです。

なお、松江城天守の考察を別稿で行っています。

松江城天守の構造や歴史的背景を詳しく知りたい方はこちら
創築時の松江城天守外観について考察 | 天守探訪記